どろろ

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手塚治虫の漫画はなんだか重い、暗いといった印象が強いのだけれど、読んだことがあるのがブラックジャック火の鳥アドルフに告ぐ、そしてこの映画のどろろだけだからというのが理由なのかもしれない。リボンの騎士はアニメが好きだったけれど熱心に全話見倒したわけでないし、アトムにいたってはファミコンの「たすけてー」か、GBAの投売りトレジャー版アトムしか思い出せない。ゲームはどちらも名作なので(ファミコンのはマゾいけれど)やったことなければオススメですよ。
おっと、映画の話をしていない。結構頑張って原作を追っかけたストーリー展開になってるのだけれど、それがうまいこといってなくて悲しい結果に。百鬼丸がのどを取り返すシーンなんて、漫画ではかなりの名場面なのに、映画では百鬼丸がそれ以前もしゃべりまくっているようにしか見えないので、声が出るようになって喜ぶ百鬼丸どろろの喜びがいまいち伝わらず、下手したら何で喜んでいるのかわからない残念な感じになってしまっている。目を取り戻したところもおんなじで、どろろの設定を観客に伝えきれていないがために感動を伝えられていない。そんな感じで全般的に演出、あと台詞回しがうまくなくて、子捨て寺のシーンも、母との出会いも、ラストもなんだか違和感に包まれてしまった。続編作る気満々なんだから、もう少し設定を掘り下げ、展開のスピードを抑えて、演出重視の映画にして欲しかった。
そんななかで柴崎コウが大健闘。映画の最初の方にあった、化け物に寝込みを襲われそうになるところがとくにいい。漫画にあるような叫び声を飲み込む描写(口の中に台詞があるやつ)がしっかりと映像になっていた。全体的には台詞回しがいまいちなところもあるけれど、それは彼女じゃなくて台本がきっと悪いに違いない。あ、せめて台詞回しだけでももう少しかっこよくなれば、この映画の印象はだいぶ変わるんじゃなかろうか。面白くなる要素はたくさんあると思うので、来年といわれている2に期待してみよう。